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時の運

Windows 7 RCが専門家(というか…)向けに公開され、
一般人も5月7日には入手可能になるそうである。

だが情けないのは、最大の特徴として騒がれているのが
「XPM」=Windows XP Mode であることだ。
仮想化機能を用い、本物のWindows XPをWin 7と同時に走らせることで、
完全な互換性を実現するというふれこみである。

しかし、
Windows 3.1が出たときに、もしMS-DOSとの完全な互換性があたっとしたら、これが最大の売りとして挙げられただろうか? 違うだろう。GUI、広い画面、マルチタスク等々であろう。
Windows 95が出たときに、もしWindows 3.xとの完全な互換性があったら? それでも最大の売りは、インターネット対応であり、32bitカーネルによるリソースの余裕、大規模データを扱うアプリへの対応力だろう。
Windows XPが出たときに、もしWin 95/98との完全な互換性があったら? それでも最大の売りは堅牢なカーネルによるクラッシュ耐性と美しいGUIだろう。

それを考えると、XPMがトップに来るという現状は、Windows 7の他の新機能が、いかに魅力が小さいかわかる。そもそも「Windows Vistaよりプロセス数が少ない」「XP並みに快適」などという後ろ向きな比較がニュースを賑わしているのもおかしい。「そんなにXPがすばらしいなら、XPを使えばいいじゃん」という話だ。

しかも、XPMは、本物のWindows XP環境と100%互換かというと、そうでもない。

http://www.theinquirer.net/inquirer/news/975/1051975/xp-mode-windows-scam

によると、Windows 7側がGPUの支配権を握ったままなので、XP(上のアプリ)はGPUを支配できないとしている。だとすると、3Dゲームなどは絶望的ということになる。報道を読めば、XPMの実態は、Virtual PC上に構築された仮想マシン上でXPを動かしているだけなので、GPUへのフルアクセスが難しそうなことは当たり前である。同じ理由で、たとえば7のドライバが提供されていないハードウェアがあるのでXPMを使って動かす、ということもできそうもない(7上の仮想マシンから、7に認識されていないハードウェアにアクセスできるとは思えない)。なんだ、これなら別にいままでだって、VMwareやVirtualBoxを使ってXPを動かせばできたことだ。MS標準機能という安心感と、Windows 7のデスクトップ上に、XPのアプリのウィンドウを出して動かせる機能があることくらいがせいぜい新鮮なところだ。

ただ、私は仮想化ハイパーバイザの動向に詳しくないのでなんともいえないのだが、こういう、ホストOSがある形での仮想化ではなくて、純然たるハイパーバイザ上で、Win 7とWin XPを対等に動かすようにすれば、XP環境では3Dゲームも、XP用のドライバを使ったハードウェアアクセスも、できるようにならないのだろうか? そうだとすれば、これは非Windows OSにとっては福音となる。他のOSに、Windowsよりいい部分があっても、Windowsでしかできないことがある、という比較優位が、Windowsの寡占をもたらしてきた。BeOSのようによく作られた、軽快で、メディア処理に強いOSが出てきても、常時BeOSだけで作業ができるユーザーはそう多くなく、シェアを広げられなかった。Linuxは、長年の努力によるソフト資産で、こちらをメインOSに使う人も増えているとはいえ、まだまだ圧倒的少数派だ。

逆に言うと、そういうハイパーバイザが登場すれば、OSのシェアにはドラスティックな変化が訪れるのだろうか。BeOSはリリースの時期が悪かったのだろうか? あるいはすでに、画期的な新OSは生まれていて、ブレイクの日を待っているのだろうか?

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