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uayebはマヤ暦の「無名月」

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無限の有限性について ~または飛び出せない悪魔~

風呂から上がると、息子が三面鏡で合わせ鏡をしていた。
「お父さん、これって無限なの?」
「うーん、無限になるためには、両方の鏡が完全に並行じゃないとだめだから。ちょっとでもずれていたら、反射するたびにずれがどんどん広がって、どこかで反対の鏡に映らなくなっちゃう」
「僕の定規で並行にできるよ!」
「そんな精度じゃだめだな。完全に並行っていうのは口で言うほど簡単じゃない。というか、人間には完全な並行なんて作れないと思う」
「じゃあ、もし本当に並行にできたら、無限に映るの」
「そうだね」
本当だろうか。
「このたくさんの鏡は、片方の鏡に反射した光が、もう片方に反射して、それがまた反射してできるわけだから……」
「光の速さ!」
「そのとおりだ。鏡は光の速さでしか描かれない。光はすごく早いから、1億枚とか、もっとあるかもしれないけど、無限じゃない」
なんてことだ。合わせ鏡に映る映像は、1秒後と2秒後では違う。子どもの疑問で思いもしなかった結論が出てきた。無限の鏡が映るようになるまでは、無限の時を経なければならないのだ。
合わせ鏡を作ると悪魔が飛び出てくる、と言うのは、合わせ鏡に無限という、日常生活ではなかなか目にすることのない属性を期待するからだ。残念ながら、合わせ鏡の像の数は、無限にはずいぶんと遠い。悪魔にはスタンバイの声もかかっていない。

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