粘るユーロ
先々週の大暴落の前の日に、ビッグマック指数の適正値に近づく各国通貨の話を書いたら、びっくりするほどのアクセスがあった。ただ、その趣旨でいえば、ドルは78円、ユーロは83円を目指すはずなのだが、実際にはその後、ドルは100円、ユーロは130円を超すところまで反発してしまった。本当に為替の短期の動きを読むのは難しい、というか、逆に行くことのほうが多い。短期では、ね。
中長期では、基本的には78円、83円という方向で動くと、今も思っている。ただ、ビッグマック指数を金科玉条にして、その数値自体を絶対視しているわけではない。一物一価が成り立つにしても、国ごとに農産物の価格や流通、人件費等は異なるので、まったく同じ価格にはたぶんならないだろう。以前2chの市況2板NZDスレで、72円だったNZDに対して、「ビッグマック指数では57円。それくらいにはなるだろう」と書いたら、直後に「いや、ニュージーランドは農産国だから、ビッグマックの価格はもっと安くて当然。オレは52円まで行くと思う」というレスが来た。農産国だと、原材料である農産物の価格が、日本のように輸入しなければならない国に比べて安くすむから、ということなのだと思う。なるほど、しかし52円は無茶だろう、と思っていたが、先日の暴落のときには一時48円台をつけた。今思うに、この彼(彼女?)の読みどおりだったわけで、どちらの方かは存じあげないが、実に見事なものだと、敬服するしかない。
さて、そうだとすると、大農産国であるオーストラリアドルが、ビッグマック指数で見ると下がりすぎているように見えるのも、一部はそのせいという説明がつく。では、同じように農産国を多く域内にかかえるユーロが、未だに150%という水準なのはますますいびつに見える。本当は75円でいいのかもしれない。……今のレートを見ると、とてもそこまでいくとは、私自身もにわかには信じられないが……。